「自己肯定感」を上げようとするほど苦しくなる構造
著者:玉井加菜子
この記事の要点
自己肯定感を高めようとするほど苦しくなるのは、肯定できる自分まで新しい評価基準になっているからかもしれません。自己否定を消す前に、自分を見ている基準を整理します。
「もっと自分を認めよう」「自己肯定感を高めよう」と努力しているのに、できない自分をまた責めてしまう——。苦しさの背景には、自己肯定感の高さまで自分を評価する基準になっていることがあります。
「自己肯定感を上げなければ」が新しい課題になる
自分を大切にすることや、できたことに目を向けることは、心を整える助けになります。
一方で、
「前向きに考えなければ」
「ありのままの自分を好きにならなければ」
「自己否定する私は、まだ成長できていない」
と感じ始めると、自己肯定感を上げること自体が、新しい達成課題になることがあります。
自分を認めるために始めたことが、「認められる自分になれているか」を監視する作業へ変わってしまうのです。
肯定できない自分にも、理由があるかもしれない
褒められても素直に受け取れない。
失敗すると、自分の価値までなくなったように感じる。
休んでいると、役に立っていない気がする。
こうした反応を、性格の欠点と決める必要はありません。
これまで、期待に応えることで居場所を得てきた人にとっては、「何もできなくても価値がある」と思おうとしても、すぐには実感できないことがあります。
できること、役に立つこと、迷惑をかけないことが安心と結びついているなら、無条件に自分を認めることは、慣れていないだけでなく、少し怖いことでもあるからです。
肯定する前に、どんな基準で自分を見ているか
「私は価値がある」と言い聞かせる前に、自己否定が出た場面を具体的に見てみます。
何ができなかったときに、自分を責めたか 誰と比べて「足りない」と感じたか 何ができれば、認められると思っているか できない自分を許したら、何が起きる気がするか 本当は、誰から認めてもらいたかったか
大切なのは、すぐに正しい答えを出すことではありません。
「私は自己肯定感が低い」とまとめるよりも、どの場面で、どんな基準から自分を低く評価したのかを見るほうが、自分の反応を具体的に理解できます。
自己否定を消そうとすると、自己否定が増えることもある
自己否定が出るたびに、
「こんな考え方をしてはいけない」
「もっと自分を好きにならなければ」
と修正しようとすると、今度は“自己否定している自分”が否定の対象になります。
必要なのは、すぐに肯定へ置き換えることだけではありません。
「今、私は何を基準に自分を評価したのだろう」
「この厳しさで、何を守ろうとしているのだろう」
と一度立ち止まることです。
目指すのは、いつも前向きな自分ではない
無意識に繰り返している受け取り方や判断のパターンを、このサイトでは「無意識エンジン」と呼んでいます。
無意識エンジンを整理する目的は、自己否定を完全になくしたり、いつも自信のある自分になったりすることではありません。
自分を責める反応が起きたときに、「またダメな自分が出てきた」と決めるのではなく、その反応が生まれた場面や前提に気づけるようになることです。
自己肯定感を無理に上げるより、自分を評価している基準を知る。そこから、自分との関係を選び直す余地が生まれます。
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